一人暮らしの中でも特に問題視されるのがNHK受信料です。突然の訪問で「テレビを持っている場合は料金を支払う必要がある」と告げられ、多くの人が不安を覚えます。
本記事では、実際にNHK受信料を支払っている人の割合、特に一人暮らし世帯の支払い状況について詳しく見ていきます。また、すでに支払い済みの人向けに解約手続きの情報も提供します。
NHK受信料の一般的な支払い率は?
NHKが公開したデータに基づく、受信料の支払い率の推移は次の通りです。
年度別支払い率:
2021年:78.9%
2020年:79.0%
2019年:81.8%
2018年:80.2%
2017年:79.4%
2016年:78.1%
全国平均で約80%の支払い率が維持されており、5軒に1軒は支払っていない状況です。2020年と2021年の支払い率のわずかな減少は、コロナウイルスの影響で営業訪問が減ったためと考えられます。
2023年9月にはNHKが訪問営業の完全停止を決定し、訪問回数が大幅に減っています。
「2022年度 第2四半期業務報告書」では、4月から9月にかけて約19.8万件の契約減少がありました。NHK側の予想の約2倍の減少ですが、支払い率は依然80%前後を保っています。
しかし、「本当に多くの人が支払っているのか」という疑問は残ります。公式データの信憑性に疑いがあるものの、この支払い率は国勢調査に基づく世帯数から推定されたテレビ普及世帯数によって計算されています。
テレビ普及世帯数の調査はオンラインアンケートや出荷率から行われているため、正確な普及率の算定は難しいです。
ホテルなど、1室ごとに契約が必要なケースでは、実際の世帯数と契約数に違いが生じることもあります。
(引用元:NHK公式サイト https://www.nhk-cs.jp/jushinryo/know/jyushinryo.html )
NHK受信料の実際の支払い率:調査方法が与える影響
NHK受信料の支払い率を算出する際、調査方法が大きな影響を与えます。例えば、100世帯を調査して50世帯が支払いをしていない場合、支払い率は理論上50%となります。
しかし、この中にホテルのように1世帯で複数の契約を持つ特殊なケースが含まれていると、支払い率は大きく変動します。
1世帯がホテルとして50契約を持っていれば、支払い率は理論上100%に跳ね上がります。こうした特殊ケースの取り扱いが、NHK受信料の支払い率のデータの正確性に疑問を投げかけます。
一人暮らし世帯のNHK受信料支払い率
NHK受信料の支払い率は通常、全国平均でまとめられますが、世帯の種類に応じた詳細なデータは公表されていません。
2020年の国税調査によると、東京都の一人暮らし世帯率は50.2%で、同地域のNHK受信料の支払い率は67.3%と全国平均を下回っています。
これは、一人暮らし世帯の支払い率が全体的に低いことを示唆しています。SNSのアンケート調査でも、支払っていない人の割合が多い傾向が見られます。
特に、テレビを持たずにインターネットを主な娯楽源としている若年層では、支払い率がさらに低いと考えられます。
一方で、社会人や家庭を持つ世帯では、社会的な圧力や近隣との関係から支払う傾向にあるものの、最も楽観的な見積もりでも数値は約50%程度にとどまると推測されます。
NHK受信料契約者の未払い率
NHK受信料の契約者数は約3,516万件で、そのうち支払いを行っているのは約3,343万件です。これにより、受信契約者の未払い率は約4.9%と算出されます。
契約後に支払いを怠る人も中にはおり、この未払いや不払いの割合が4.9%であることが分かります。多くの人は契約を結んだ以上、支払い義務を果たしていますが、不安や圧力から契約した後に意図的に支払いをしない選択をする人も存在します。
このように、NHK受信料の支払い状況はさまざまな要因に左右されるため、単純な数字だけでは全体像を正確に把握するのは難しいです。
NHK受信料の支払いが必要ない家庭のケース
全ての家庭がNHK受信料を支払う必要があるわけではありません。
受信機器を持っていない家庭、故障して使えない受信機器を持っている場合、特定条件を満たす学生などは受信料の支払い義務が免除されます。
また、パソコンを利用してNHKを視聴しても、これは受信料の対象外となります。以下で、これらのケースについて詳しく説明します。
受信機器を一切所有していない場合
受信料と言えばテレビを思い浮かべる人が多いですが、受信機器にはその他にも様々な種類があります。例えば、ワンセグ機能付きスマートフォン、テレビ受信機能付きカーナビ、テレビチューナー内蔵パソコンなどがこれに該当します。
これらのいずれかを持っている場合は通常、受信契約が必要です。ただし、一般的なパソコンにはテレビチューナーが装備されていないため、契約の必要はありません。
これらの受信機器を一切持っていない場合、NHK受信料の支払い義務はなく、営業訪問を断ることができます。また、誤って契約してしまったり、不安に駆られて契約してしまった場合でも、解約手続きにより返金を受けられます。
故障している受信機器を所有している場合
所有するテレビなどの受信機器が故障して使用できない場合、受信料の支払い義務は免除されます。「受信機が故障や廃棄で使用不能になった場合、または受信機を設置している住居に誰も住んでいない場合は、受信契約の対象外です」というのが一般的な規定です。
テレビが映らない、電源が入らないなどの状況がこれに該当します。このような場合、既に契約している人でも解約手続きをすることが可能です。
学生や特定家庭はNHK受信料免除・割引の可能性あり
学生や特定の条件を満たす家庭では、NHK受信料の支払いが免除されたり、割引が適用される場合があります。具体的な条件について以下で説明します。
学生が受信料を免除されるのは、以下のような条件を満たした場合です。
- 奨学金の受給者であること
- 授業料の免除を受けていること
- 親が市町村民税非課税であること
- 親が公的扶助を受けている場合
これらの条件に当てはまる学生は、受信料の支払い義務から免除されることがあります。日本学生支援機構によると、大学生や大学院生の約半数が奨学金を受給しています。ただし、免除を受けるためには申請が必要です。
受信料の集金人が来ても、後から免除申請を行えば支払い義務が免除される場合があります。
NHK受信料の料金体系
NHK受信料には地上波契約と衛星契約の二つがあります。一人暮らしでは通常、地上波契約が適用されますが、衛星契約をするとBSなど追加チャンネルの視聴が可能です。
支払い方法によって料金が異なり、自動引き落としは手数料が安くなります。しかし、自動引き落としの場合、受信設備を撤去しても解約を忘れると料金が引き続き発生します。支払い方法を選ぶ際は、将来の変更可能性も考慮することが重要です。
一人暮らしの学生や単身赴任者は家族割引の対象となることがあります。これには以下の条件が必要です。
- 同一生計の家族がそれぞれ別住居で契約している場合
- 同一契約者が複数の住居で契約している場合
既に親が受信料を支払っていれば、一人暮らしの子供も割引対象になり、料金が半額になることがあります。ただし、自動で適用されるわけではなく、申請が必要です。
まとめると、NHK受信料は受信機器の有無、学生の有無、家族構成によって支払い義務や料金が変わります。
支払い方法によっても料金が異なるため、自分の状況に合わせた最適な選択が求められます。特に学生や一人暮らしの場合、奨学金の受給や家族割引を活用して受信料の負担を軽減できます。
2023年4月施行のNHK受信料割増金制度とその影響
2023年4月からは放送法の改正に伴い、NHK受信料の新たな割増金制度が開始されます。この制度下では、受信料未払いの世帯に対し、通常の料金の2倍にあたる延滞金が課されることになります。
この割増金は、不正手段で受信料を支払わなかった場合や、期限内に正当な理由なく契約をしなかった場合に適用されます。
延滞金が課される主なケースは以下の通りです。
- 既に契約しているが料金を支払っていない場合
- テレビを所有しているが契約していない場合
- 「テレビがない」と虚偽の申告をして契約を避けている場合
- 「テレビを処分した」と虚偽を申告して契約を解除している場合
支払期限は受信設備設置後の翌々月末日までで、期限超過となると通常の受信料に加えて2倍の割増金が必要となります。
NHK受信料未払いの影響
一人暮らしの多くの人がNHK受信料を支払っていない現状があります。放送法第64条によると、テレビ等の受信機器を所有している場合、契約の義務があり、契約をすれば受信料の支払い義務が発生します。
NHK受信料集金人の対応と拒否方法
NHK受信料の集金人の対応は訪問する集金人によって異なりますが、一般的な手順に従って行われます。集金人は直接訪問し、受信料の徴収を目指します。
訪問に対し居留守を使ったり拒否したりすると、法的な措置は取られない場合が多いです。直接契約が成立しない限り、裁判や差し押さえの対象になることはまれです。
居留守を利用すると初めは頻繁に訪問されますが、徐々に回数は減ります。これは集金人が使用する端末に「居留守」「契約意思なし」と記録されるためです。
集金人は大抵、NHKの職員ではなく外部の営業員であり、担当エリアが変わっても端末に記録された情報に基づいて対応されるためです。
このため、担当者が変わっても、以前に「契約意思がない」と記録されている場合、訪問は少なくなる傾向にあります。
訪問員との対応方法としては、受信機器の有無について言及せず、「帰ってください」と繰り返し申し立てることが効果的です。これにより、訪問員が居座ることは不退去罪の対象となり得るため、大多数の場合、訪問員は立ち去ることになります。
以上のように、NHK受信料の集金人に対しては、積極的に交渉せずに拒否することが一般的です。この方法で、多くの場合、法的な問題に発展することはありません。
ただし、契約をしてしまった場合や受信料の支払いに関する法的義務が発生している場合は、適切な手続きを行うことが重要です。
NHK受信料の支払い拒否:テレビ所有の有無を伏せる方法と裁判リスク
NHKの受信契約は、テレビなどの受信機器の所有が契約の前提です。受信機器の有無が不明な限り、契約は成立しません。そのため、テレビの所有について明らかにせずに契約を拒否することが可能です。
集金人はマニュアルに従って対応するため、契約拒否時には「上司が後日伺うかもしれない」と伝えることが一般的です。また、集金人が家の中に入ることは基本的に禁止されています。
このため、集金人が強引に入ってテレビの有無を確認することはほとんどありません。
NHKの職員が実際に訪問するのは、テレビの所有が確認された上での解約手続きを行う場合や、テレビがあることを伝えて契約を拒否したケースに限られます。
これにより、NHK受信料の支払いを避けるための適切な対応を取ることが可能です。
テレビ所有者の裁判リスク
テレビを所有していることを認めた上でNHK受信料を拒否する場合、稀に裁判に発展するリスクがあります。裁判で敗訴すると、テレビ設置から発生した期間の受信料を全額支払う義務が生じることもあります。
テレビ所有による契約拒否ケースでも訴訟への発展はあるものの、実際に裁判になる確率は非常に低いです。
約4,600万件の対象世帯中、約1,100万件が未契約で、これまでの民事裁判件数は2021年6月時点で累計490件、未契約者の裁判発展割合は約0.004%です。
しかし、一度テレビ所有を認めると裁判リスクが高まり、敗訴の可能性が出てきます。裁判に至らない限り、支払い義務が発生しないと解釈されることもありますが、法的解釈や判例によっては支払いが求められることもあります。
契約済みだが未払いの場合の法的手続き
すでにNHK受信料の契約を結んでいるが未払いの場合、支払い督促や裁判に発展するリスクがあります。これは水道料金や電気料金の未払い時の法的措置と似ています。
支払い督促の手順は以下の通りです。
1. 支払い督促の申し立て
2. 督促状の発行
3. 督促正本の送達(この段階で問題が深刻化)
4. 仮執行宣言の申し立て
5. 仮執行宣言の発行
6. 仮執行宣言付き督促正本の送達
7. 確定後の強制執行
これらの手続きを経て、最終的には法的な強制力による受信料の徴収が行われる可能性があります。契約後に支払いを怠ると、法的な措置による追加の負担やトラブルに直面するリスクが高まります。
テレビ所有の虚偽申告とNHK受信料拒否の法的側面
テレビを所有していながら「所有していない」と虚偽申告する行為は、法的問題を引き起こす可能性があります。
しかし、このような申告を詐欺や偽証として立証するのは難しいです。NHKにとって、訪問先が実際にテレビを所有しているか、また契約を拒否しているかを判断するのは困難です。
受信機器の設置が不明確な場合、法的訴訟を起こすのも制限されます。
テレビの有無を明らかにすると裁判に発展するリスクが高まることがあります。2013年、2017年、2018年の判例には、テレビの所有を認めたケースが存在します。
しかし、家庭内を調査するには令状が必要で、NHKにその権限はありません。
訪問員が集金人である場合、裁判に発展する確率は非常に低いです。過去の記録では、「テレビなし」と主張して裁判になった例はありません。そのため、テレビの有無を明かさない、あるいは「テレビはない」と断言するのが一つの方法です。
訪問員との対応では、「帰ってください」と繰り返し伝え、ドアを閉めるのが有効です。訪問員が長く居座ると不退去罪に問われることもあります。